第７回「血清はなぜ必要？」

1. 

   「博士、どうして培地に血清を添加するのですか？」

2. 

   「動物細胞は、培地だけでは増殖せず、血清を必ず添加する必要がある。血清には、ホルモンの供給源としての働き、培地の緩衝作用の増強、フェノールレッドや各種プロテアーゼからの保護効果などが知られているんだが、未知の物質が多く、いまだに血清を代替する物質も見つかっていないので、しかたなく添加しているんだ。」

3. 

   「では、ウシ胎児血清をよく使うのはどうしてですか？」

4. 

   「理想的には、ヒトの細胞にはヒトの血清、マウスの細胞にはマウスの血清を使うのが良いのだが、入手が困難であり、現実的にはほとんど使用されていない。ウシの場合は、血の量が多いということや、乳牛のブリーデｨングで雄牛が生まれた場合には殆どの場合、堕胎させるため比較的材料も集めやすいということがあるね。」

5. 

   「では、新生コウシ血清やコウシなどの区別は、何かあるのですか？」

6. 

   「一般的に生後１０日未満のものを新生コウシ、生後１０日以上３ヶ月未満のものをコウシ血清と呼ぶことが多いね。また、生後の日数が経過すればするほど前に言ったような血清の効果が薄れ、血清中の脂質量が多くなるため濁りが増すんだ。だから、細胞を増やさないようにわざとコウシ血清を使ったり、脂質を多く作用させるためにコウシ血清を使ったりするんだよ。」

7. 

   「血清の非動化はなぜ行うのですか？」

8. 

   「非動化は、血清中の補体成分を失活させるために行うんだ。血球由来の細胞などは必ずといっていいほど非動化は行うべきだね。」

9. 

   「血清って以外と奧が深いですね。ロットチェックも大変だし。そう言えば、今、ケー・エー・シーで血清のキャンペーンをやっているのでこの機会にサンプルをもらって購入します。」

10. 

    「ケー・エー・シーでは、基礎培地にウシ胎児血清を添加した「調製済み培地」も扱っているよ」

11. 血清のキャンペーン情報や調製済み培地の種類は、ケー・エー・シーまでご確認ください。