細胞培養基礎講座 COURSE
細胞培養基礎講座は、 培養の第一人者バイ博士のもとに弟子入りした陽助手が、 日々の細胞培養に関する疑問を博士から教わります。
第22回「ES細胞のマウス系統」
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「博士。マウスES細胞には、色々なマウスの系統由来のものがあるようですがどのような違いがあるのですか?」
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「今のところ市販されているのは、129SV由来、C57/BL6由来、DBA/1由来の3系統が知られているね。」
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「どのように違うのですか?」
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「まず、毛色が違うよ。129SVは茶色、C57/BL6は黒色、DBA/1は淡褐色をしているんだ。」
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「それ以外の違いはありますか?」
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「まず、129SVなんだが、この系統が一番始めにES細胞が樹立された系統であり、一番よく使用されている。キメラなどの形成率も良いんだが、学習能力や空間行動力が弱く、脳に関する研究をするには適さないマウスなんだ。」
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「C57/BL6はどうですか?」
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「この系統は、学習能力に優れたマウスで、脳に関する研究に適するんだがキメラの形成率が129/SVより悪いのが欠点だね。」
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「DBA/1はどうですか?」
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「この系統は、乳がんの発病率が高かったり、視覚性痙攣を起こしやすいなどの特長を持つが、繁殖が比較的難しいのが欠点だね。」
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「マウスにも系統によって個性みたいなものがあるんですね。」
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「そうだね。人間の個性は生活環境などの要因のほうがよく影響を受けるけれど、マウスは遺伝的に個性がある程度決められているんだよ。」
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「何か、129SVみたいに生まれながらに学習能力が無いなんて言われると嫌だな。」
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「その心配はないよ。人間の子供、特に自分の子供はひょっとして天才かも。。。。と思うからね。」
- 最近、自分の子供を「こんな賢くて優しい子は見たこと無い。」と親ばかぶりを発揮しているバイ博士でした。
(2014年当時の知見を元に作成しました。)