研究・開発の窓 COLUMN
研究・開発の窓
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ライブイメージングを駆使した脳の神経回路研究を疾患の治療につなげたい
国立精神・神経医療研究センター 小山隆太氏(神経研究所 疾病研究第二部 部長)マイクログリアが異常なシナプスを貪食する 脳神経系はニューロン(神経細胞)とグリア細胞で構成される。かつては、神経ネットワークで中心的な役割を担うのはニューロンであり、グリア細胞は脇役と考えられてきたが、近年ではグリア細胞の研究が進み、シグナル伝達が行われるシナプスの構造や機能をグリア細胞が制御していることが分かってきている。こうした中、国立神経・精神医療研究センターの小山隆太氏は、独自の細胞培養技術とライブイメー...
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ヒト皮脂腺代替モデルを開発し、ニキビの発症や悪化のメカニズムを解明
東京薬科大学教授 佐藤隆氏(生化学教室)アクネ菌の皮脂産生分泌促進作用を細胞レベルで証明 皮脂は生体のバリア機能を担う重要な因子であり、皮脂腺はその生成と分泌を担う組織である。だが、その機能が科学的に解明されてきたのはつい最近のことだ。東京薬科大学の佐藤隆氏(生化学教室教授)は、皮脂腺の皮脂産生調節機能を研究し、「どうしてニキビ(ざ瘡)ができるのか」、「ストレスはニキビの原因になるのか」など、皮脂腺の機能とその異常が引き起こす疾患についての研究成果を発表...
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老化抑制の鍵を握るオートファジーの活性を制御し、加齢性疾患の予防や治療につなげる
奈良県立医科大学 オートファジー・抗老化研究センター長 中村修平氏オートファジーの活性化は寿命延長のコアメカニズム 2024年4月、奈良県立医科大学に「オートファジー・抗老化研究センター」が設立された。同センターのセンター長を務める中村修平氏(生化学講座教授)は、老化とオートファジーの関連を解明し、加齢性疾患の発症や進行の抑制を目指す研究者だ。オートファジーは真核生物において、細胞内で不要となったタンパク質を回収・分解・リサイクルするシステムである。不用品を二重膜で包み込んだ直径...
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膜タンパク質の分解機構である「シェディング」が持つ生物学的意味を解明したい
立命館大学生命科学部教授・白壁恭子氏シェディングは細胞間コミュニケーションを調節する タンパク質には修飾を受けることで生体内での機能が変わる性質がある。「シェディング」は細胞膜に埋め込まれた膜タンパク質をプロテアーゼと呼ばれるタンパク質を切るハサミが切断し、細胞外領域を可溶化するタンパク質修飾機構である(図1)。 立命館大学生命科学部教授の白壁恭子氏(生命医科学科タンパク質修飾生物学研究室)は、「細胞は種々のシグナル分子や受容体を介してお互いにコミュ...
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肝がん、動脈硬化、認知症などの疾患とコンドロイチン硫酸合成異常の関連を解明
神戸薬科大学 学長・教授北川裕之氏(生化学研究室)近年、GAG(グリコサミノグリカン)と称される硫酸化糖鎖の生物学的機能が注目されるようになった。神戸薬科大学の北川裕之学長(生化学研究室教授)は、コンドロイチン硫酸などのGAGの合成異常が、全身のさまざまな疾患の発症や進展に関与することを解明し、創薬や未病段階での病気の発症の予防に応用する研究を続けている。 GAGの多くはタンパク質と結合し、プロテオグリカンと呼ばれる糖タンパク質として存在する。プロテオグリカンは化粧品やサプ...
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製剤設計の効率化をめざし、製剤の特性をレオロジーで数値化する指標を提唱
静岡県立大学薬学部 近藤啓教授(創剤科学分野)レオロジー(流動学)は物体の粘性や弾性を研究する学問である。固体(弾性体)に外力を加えると変形するが、内部から反発力(応力)が生じて、外力を除くと元の形状に戻ろうとする。液体(粘性体)では応力が生じず、外力を除いても元の形状には戻らない。 医薬品や化粧品では、固形剤、液剤のほかに、その中間に位置する粘弾性体の製剤も多用されている。静岡県立大学薬学部の近藤啓氏はこのレオロジーに興味を持ち、「基礎研究と医薬品としての実用化の間を...