研究・開発の窓 COLUMN
研究・開発の窓
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臓器表面からの直接投与法により、抗がん薬の副作用を低減し、効果を高める
西田孝洋 長崎大学大学院教授・薬学部長肝臓などの臓器表面から抗がん薬を直接投与し、腫瘍のある部分を狙い撃ちする―このような新しい投与形態のドラッグデリバリーシステム(DDS)の研究を進めているのが、長崎大学大学院大学院医歯薬学総合研究科の西田孝洋教授(薬剤学分野)だ。長崎大学の薬剤学研究室は「表面投与班」「動態班」「遺伝子班」に分かれて活動しているが、「研究室の目標である『薬物治療の最適化』に向かって、それぞれの研究成果を互いに活用しつつ、三位一体で研究を展開し...
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光酸素化触媒を用いた新たなアルツハイマー病治療薬開発に挑む
東京大学大学院薬学系研究科 富田泰輔教授2021年6月、FDAが18年ぶりとなるアルツハイマー病(AD)の新規治療薬アデュカヌマブを迅速承認し、認知症の創薬研究史に新たな一頁が書き加えられた。また、2021年4月に東京大学大学院薬学系研究科・富田泰輔教授(機能病態学)らの研究グループが雑誌Brainに掲載した論文は、光酸素化触媒を用いた新たなAD治療薬開発の可能性を示唆するものとして、大きな注目を集めている。 図1 光酸素化触媒を用いた新たなアルツハイマ...
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DNA医薬品や間葉系幹細胞の標的指向化技術の開発を推進
山下富義 京都大学大学院薬学研究科教授肝臓や炎症組織に効率的に薬物や治療細胞を届ける京都大学大学院薬学研究科の山下富義教授(薬品動態制御学分野)らの研究グループは、低分子化合物からペプチド・タンパク質、核酸、細胞などへと進化する薬物のモダリティに対応したドラッグデリバリーシステム(DDS)の研究開発を続けてきた。 山下教授は、「DDSの開発研究では、薬物自身はもちろん、それを標的組織に運ぶキャリアについて、生体内でのADME(吸収、分布、代謝、排泄)、物質として...
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大脳での記憶形成・維持に関わる分子・細胞レベルの機構解明を推進
奥野浩行鹿児島大学教授認知症や精神疾患の治療法・治療薬開発への応用に期待鹿児島大学大学院医歯学総合研究科奥野浩行教授(生体機能制御学講座 生化学・分子生物学分野)らのグループは、大脳での認知機能、特に記憶形成や維持に関わる分子・細胞機構や神経回路を解明することにより、認知症や精神疾患を始めとする高次脳機能障害に対する治療法開発への貢献を目指している。また、これらの神経機能を解析するための新しいツールや方法の開発にも尽力している。 我々ヒトの行動は...