細胞培養基礎講座 COURSE
細胞培養基礎講座は、 培養の第一人者バイ博士のもとに弟子入りした陽助手が、 日々の細胞培養に関する疑問を博士から教わります。
第12回「培地にとけない物質の添加法」
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「博士、ある物質を培地に添加したいのですが、どうやって培地に添加したらいいのでしょうか?」
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「その物質が培地に溶ける物質であれば培地で溶解すれば良いだろう。もし溶けない物質であればDMSOなどの有機溶媒で溶解すれば良いよ。」
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「でも、DMSOで溶かしたらDMSOの毒性は影響ないんですか?」
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「もちろんそのままではだめだよ。添加したい物質量の100倍から1000倍濃度になるようにDMSOで溶解して、培地に必要量添加するんだ。これだと、培地に添加するDMSO濃度は1%~0.1%になるのでそれほど影響はないよ。一応、私はDMSOが0.1%以下になるように計算して添加しているが。」
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「なるほど。培地に添加する溶液の量をできるだけ少なくするんですね。」
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「その通り。できるだけ少なくした方が、培地の成分にも影響が少ないしね。例え、水で溶解したものも培地への添加量は少なくしないと培地自体が薄まってしまうからね。」
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「滅菌は、どのように行うのですか?」
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「物質を溶かした溶液を先にろ過滅菌してから培地に無菌的に添加するのが良いね。物質を添加後、培地全体を滅菌しようとすると、フィルターがもったいないし、培地のpHなども変化してしまうからね。」
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「目的より濃いものを作り、先に処理する。これって人生や仕事と同じですね」
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「うん。たまには良いことを言うね。(ほめながら、陽君の毒性は何で薄めればよいのだろう。。。。と悩むバイ博士でした。)」