細胞培養基礎講座 COURSE
細胞培養基礎講座は、 培養の第一人者バイ博士のもとに弟子入りした陽助手が、 日々の細胞培養に関する疑問を博士から教わります。
第16回「マイコプラズマの除去」
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「博士、マイコプラズマが運悪く感染した場合には、除去する方法はないのですか?」
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「細胞が再入手できる株細胞であれば、除去するよりは確実な種を再入手するほうが良いね。ただし、自分で樹立した細胞など貴重な種は除去剤で除去できるよ。」
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「どのような除去剤がありますか?」
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「MC-210やミノサイクリンなどが知られているが、MC-210が最近はよく使用されているね。」
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「それはどうしてですか?」
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「MC-210は、マイコプラズマのMICとMMCの差が非常に狭く殺マイコプラズマ活性が高いことがあげられる。このMICとMMCの比率が低いほど効果が高いのだが、たとえば、一番よく検出されるM.oraleであればMC-210はこの比率が2であり、ミノサイクリンでは、500なんだ。」
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「MICとMMCの意味は何なのですか?」
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「MICは、マイコプラズマの増殖を阻害できる最小濃度であり、MMCは、マイコプラズマを殺すための最小濃度だね。」
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「そんなに効果がある薬剤なら逆に毒性が心配ですね。」
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「実は、MC-210は細菌類のDNAジャイレース阻害剤なんだ。だからほ乳動物にはほとんど影響が無いのだよ。通常MC-210は0.5μg/mLで使用するのだが、ハムスター由来のCHL細胞で、50%の細胞が増殖を阻害される濃度を調べたら120μg/mLと通常使用濃度の240倍だったんだよ。」
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「だったら安心ですね。もしもの場合には、購入して使用します。」
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「私は、君のおしゃべりについてMIC効果のある薬物がほしいよ。」
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「飴ですかね。」
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「・・・・・」
- 皆さんは、出来るだけMC-210を使用しなくても良いように気を付けて培養してくださいね。
でも、もしもの場合には、ケー・エー・シーのMC-210(KM881012)をお忘れなく。