細胞培養基礎講座 COURSE
細胞培養基礎講座は、 培養の第一人者バイ博士のもとに弟子入りした陽助手が、 日々の細胞培養に関する疑問を博士から教わります。
第19回「ES細胞の培養」
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「バイ博士、ES細胞を培養したいのですが、他の細胞と違う点は何ですか??」
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「一番違うのは、未分化な状態を保持しながら増殖させなければならない点だね。」
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「具体的には、どうするのですか?」
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「まず、ES細胞を未分化な状態で維持させるための因子であるLIF(*1)を添加することと、フィーダー細胞上に播種することが必要だね。」
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「フィーダー細胞には、どのような細胞が用いられますか?」
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「フィーダー細胞は、マイトマイシンCやγ線照射などによって増殖を抑えた細胞が用いられるんだ。マウスの胎児から初代培養した繊維芽細胞をマイトマイシンCで処理するのが多いようだが、STOや3T3などの株細胞をマイトマイシンCで処理することも可能だよ。」
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「あと、気を付けることはありますか?」
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「ES細胞は代謝活性が高いようで、すぐに培養液が黄色くなるので毎日培地交換することが必要だね。あと、3日以上連続培養すると分化能が悪くなったりするので3日おきに継代する必要もあるね。」
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「結構手間がかかるのですね。」
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「そうなんだ。でも、手間をかけて根気よく育ててあげれば、分化誘導した際に、うまく分化してくれるんだよ。」
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「私も、バイ博士に根気よく指導していただいているので、いつかは立派に分化しますね。」
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分化能は既に失われていると思うけど・・・と思いながら
「期待しているよ。」 - 皆さんもフィーダーの準備など煩雑な操作が多いでしょうが、その努力が良い結果を生みます。
頑張りましょう!!(2014年当時の知見を元に作成しました。)
*1)Leukocyte Inhibitory Factorの略。