細胞培養基礎講座 COURSE
細胞培養基礎講座は、 培養の第一人者バイ博士のもとに弟子入りした陽助手が、 日々の細胞培養に関する疑問を博士から教わります。
第23回「3T3細胞について」
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「博士、3T3細胞を培養しようと思うのですが、
血清が10%コウシ血清になっていますよね。10%FBSではだめなのですか?」 -
「3T3細胞は、そもそも60mmのシャーレに3 x 105 Cellsを播種して3日おきに継代するという培養方法から3T3と名づけられたんだ。つまり、比較的多い細胞数を播種して短い培養期間で継代することで、その機能が保たれるんだよ。 培養液にコウシ血清を使っているのもそのためで、FBSでは増えすぎてしまうので3 x 105 Cellsを播種したら3日目にはオーバーグロ-スしてしまうよ。」
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「コウシ血清が今は手元にないのですが、どうすればよいでしょうか?」
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「その場合は、FBSの添加濃度を5%にしてみると良いと思うよ。
ただしFBSを使うのは、一時的なものにした方が良いね。」 -
「つまり、増殖を抑えることと、細胞同士の接触を避けることで正常な機能が保たれるのですね。」
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「そう。人間でも多くのヒトと接すれば接するほど”悪性化”する可能性が高いでしょ。逆に接しすぎなくても”悪性化”するし。細胞も同じで適当な接触が正常化を保つ大切な要因だよ。」
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「そうですね。ボクも”悪性化”しないように他人とは適切な接触をしないと正常化が保てなくなりますね。」
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(陽助手が”悪性”なので、他のヒトと接触してほしくないとの思いをこめて)
「是非、そうしてくれたまえ。」 - 皆さんの細胞も、適切な濃度と適切な継代間隔で維持してくださいね。